水田は最も大きな人為的なメタン放出源の一つです。しかし増え続ける世界の人口を考えれば、水田耕作自体の縮減は想定し得ません。予想される急激な気候変化の緩和に向けて効率的なメタン放出量削減技術を開発することは、世界の水田の90%が偏在するアジア地域の研究者に課せられた重要な課題です。
ところが、最近、温暖化自体が水田からのメタン放出量をさらに増大させることが分かってきました。その原因は大きく分けて二つあります。一つ目は、温暖化が土壌中のメタン生成活動を高めること、もう一つは大気中のCO2濃度の増加によって、イネの成長が促進され、その結果メタンの基質になる有機物がより多く土壌へ供給されることにあります。このような温暖化がさらなる温暖化を引き起こすという「正のフィードバック」の程度を正しく把握することは、将来の気候予測にとって極めて重要なテーマです。
(独)農業環境技術研究所は岩手県雫石町の農家水田で大気CO2濃度を増加させる、開放系大気CO2濃度増加試験 (Free-air CO2 Enrichment, 略してFACEという)を1998年度から行っています。2007年度からは電気温床線による水・地温上昇試験を組み合わせることで、世界に先駆けてFACE-温暖化試験を行っています。この試験ではイネの成長・収量を始め様々な研究が行われていますが、メタン放出に対する影響の解明も重要なテーマの一つになっています。そのプロジェクトの中で現在自分が行っている研究項目は以下の通りです。
これまで多くの研究者によって水田から大気へのメタン放出速度が測定されてきました。その結果、メタン放出量は様々な条件によって2オーダーも異なることが分かっています。しかしメタンの放出は、生成・貯留(一部酸化)・地上部への輸送といった一連の過程の結果で、単に放出量を測定しただけでは、環境に対する変動を十分に評価しえません。メタンの生成・貯留・輸送のバランスを明らかにするためには、土壌中のメタン賦存量を測定することが必要不可欠です。そして意外な事にそのような研究は非常に少ないのが現状です。
本テーマでは、1. 土壌物理の分野でよく使用される誘電率を用いた水分測定法を「泡」の定量に応用すること、2. 化学工学の分野で使用されてきたガスの膜分離技術を応用し、空間代表性の高い土壌ガス濃度の計測法を確立すること、等を主な目的としています。

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